天神山の史跡案内

HISTORY

天神山の史跡案内

天神さんと言えば「学問の神様」として有名です。
全国に「天神社」「天満宮」はなんと1万社以上あるといわれています。
その中でも
京都の「北野天満宮」、福岡の「太宰府天満宮」、東京の「湯島天満宮」などが代表的ですが、ご祭神はどなたかご存知でしょうか?

平安時代に活躍した菅原道真公です。 <菅原道真公について>
この通尾天神社旧地も道真公にご縁のある場所のうちの1つです。

通尾天神社としての情報は日吉大社が刊行する「日吉大社大年表」に「境外百八社」として記録される他には、天神社をお守する天神講と言う組織によって口伝とされてきました。
その天神講も現在では活動休止状態にあります。
まずは現在伝わってきている内容を記載しておきたいと思います。 

1.通尾天神社旧地

この地は『平安前期(899年頃)「学問の神様」で有名な菅原道真公が、京の都から白鳥越え街道を通り、ご自身の学問の師匠である法性房尊意(ほっしょうぼうそんい・延暦寺第13代天台座主)僧正のおられる僧房(現在の滋賀院門跡の辺り)へ通われる際、旅支度から訪問着にお召し替えされるため、度々立ち寄られた館があった場所』と伝わっています。
道真公がお亡くなりになられた後、この地に祠が建立され「通い天神」と呼ばれました。

通尾天神社~滋賀院門跡

祠が比叡山系麓の山手から長く張り出してきた尾根の上にあったので、この山は「通い天神山」と呼ばれました。
「通い天神山の尾根」と言うことからこの辺りの地名が「通尾(かよお)」となり、そこにある祠を「通尾(かよお)天神社」「茅尾(かやお)天満宮」と呼ぶようになりました。
通尾天神社は明治末期の神社合祀により明治41年(1908年)に近くの倭神社(森本神社)に合祀されました。

倭神社(森本神社)
倭神社 由緒
倭神社
倭神社 通尾天神

通尾天神社は、全国日吉神社・日枝神社の総本宮 日吉大社の末社とされています。

日吉大社大年表

現在、菅原道真公の薨去後に建てられた神社は、石積み基礎と石碑が残るのみです。

こんな古地図にも記載が残っています。

通尾天神社周辺古地図原図

また天神社旧地正面に見える三上山(通称・近江富士)が真東に位置するため、春分秋分の日には山頂から昇る日の出が見られます。

天神社から望む春分の日の朝陽

それに、雄大な琵琶湖のほぼ半分、北は伊吹山から南は近江大橋までを見渡せます。

白い山が伊吹山
三上山(近江富士)
近江大橋

2.通尾天神社旧地からの出土品

菊の御紋の瓦の出土

天神山の土中からは、8弁と12弁の菊の御紋がついた瓦や、手水鉢の龍の胴体らしき部分も出てきています。
道真公にまつわる建物、つまり天神社の瓦でしたら御紋は梅のはずでが、菊の御紋が描かれています。
「十六八重表菊」紋が公式に皇室の御紋と定められたのは、明治2年(1869年)8月25日の太政官布告からです。
花弁が8弁でしたら古い神様、もしくは高祖社を表し、12弁でしたら九州王朝を表すとされます。
日吉大社の末社だからと考えると納得するのですが、下り天神とされる下野天満宮は、同じく日吉大社の末社ですが、御紋は梅です。
そうすると通尾天神社建立以前にあった建物は皇室関係のものだったのかも知れません。

12弁の菊紋瓦
8弁の菊紋瓦
龍の鱗(手水舎?)

古銭の出土

天神山の土中からは瓦だけではなく寛永通宝も出土しており、当時のお賽銭ではないかと思われます。
近江坂本は、その大半が延暦寺の寺領で、寛永通宝を最初に発行した所です。
幕府の記録では、寛永13年(1636年)に江戸浅草、江戸芝、近江坂本の3箇所で「寛永通宝」を造り始めたとあります。
しかし実際には、寛永通宝はそれ以前より鋳造されており、幕府により追認されたのが寛永13年なのではないかと思われます。

寛永通宝 表
寛永通宝 裏

また、坂本銭にはこんな記録もあります。
1634年、オランダのアユタヤ商館長が平戸商館長にあてた手紙の中に次のような文章があります。
『(交趾シナ(コーチシナ:ベトナム南部)に送ってほしい商品として)銅銭は非常に需要があり、さまざまな銅銭が求められている。最大の利益をあげるのは、サカモトとよばれるもので、最良種として通用し、1000枚につき丁銀で8匁5分、交跡シナの貨幣で10匁で売れた。
最近は金と生糸の値段が高騰したので、11~12匁に値上がりした。』

3.通尾天神社絵巻物

通尾天神社の天神講(現在活動休止)に伝わる巻物で江戸時代からのものとのことです。
道真公の肖像画と、道真公のご誕生から亡くなられた後「天神様」として、お祀りされるまでを描いた絵巻物の二軸です。
絵は村井永春とあり、もし梅翁軒永春のことであれば、元禄から享保の頃(1688年~1736年)にかけて描かれたものと推測されます。とにかく色彩鮮やかな状態で残っています。

菅原道真公の詳細についてはこちらの特集記事も参照ください。『菅原道真公について』

菅原道真公肖像画 拡大
菅原道真公肖像画 拡大
菅原道真公肖像画
道真公の生涯 1
道真公の生涯 2
道真公の生涯 3
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