もくじ
- 農園を作る
- 今後の取組み
- 1) ご神木腐葉土
- 2) 里山資源再生活用循環を作る
- 3) 家庭廃棄の生ゴミを肥料に
- 4) 家庭廃棄の生ゴミを削減
天神山の落ち葉や木屑などを循環活用したいので、天神山に近い休耕田をお借りしました。
この辺りには、鹿・猿・猪が多く出るので獣害ネットではなかなか防げませんので、まずはビニールハウスを建てることにしました。 この畑をシェアしながら地域コミュニティの輪を作ることも目的としていきます。
田んぼをお借りするところもまた、坂本の歴史に大いにゆかりのあるところで、天台真盛宗 瑞正山 淨光寺さんの田んぼです。詳しくはこちら「天台真盛宗 瑞正山 淨光寺」をご覧ください。
農園を作る
2020年12月、浄光寺さんからお借りした田んぼを耕し始めました。
2022年4月
休耕田を畑に変えてから1年余りが経過し、多くの方で賑わうようになりました。
自然循環システムがスタートしました。
今後の取組み
1)ご神木腐葉土
天神山、倭神社など鎮守の森の竹や木の枝、落ち葉などの自然の物だけで腐葉土を作り「ご神木腐葉土」として活用します。
これを各家庭に配布し家庭菜園等に利用して頂くことも計画しています。
また、これとは別に、天神山、倭神社、町内に隣接する比叡山麓の雑木林や鎮守の森から出る大量の竹や木の枝、落ち葉などを利用して生ゴミ削減の構想も記載したいと思います。
2)里山資源再生活用循環を作る
天神山/倭神社/町内に隣接する比叡山麓の雑木林や鎮守の森の竹や木の枝、落ち葉などを、腐葉土として畑の肥料に循環させていこうと思います。
かつては里山や民家近くの雑木林や竹林などに人が入り、間引いたり、倒れたものは焚き木にしたりと、年中手入れをしました。
竹は家屋の土壁に埋め込む補強材や垣根、行李など身近なものに使用して、自然と共存してきました。
しかし昨今では雑木林や竹林の荒廃が進んでいるところが増えてきています。
その要因として、下記によるライフスタイルの変化が考えられます。
①地主の高齢化が進んできた
②雑木林・竹林の所有者がわからない
③倒木・倒竹を簡単に焼くことができない
④廃棄すると費用が発生する
⑤暮らしの中で竹が使用されなくなった
雑木林や竹林は一度荒廃すればなかなか元には戻すことはできません。というのも、例え元の綺麗雑木林や竹林に戻したとしても「暮らし」との繋がりが無ければ、また直ぐに荒廃してしまいます。
綺麗な雑木林や竹林を保つためには、「人々との暮らしの繋がり」を再生する必要があります。
そのためにも畑などの農園は必要不可欠なのです。
3)家庭廃棄の生ゴミを肥料に
①竹パウダーコンポスト作り
伐採した竹を「パウダー」にしてコンポストを作ります。
粉砕機で竹をパウダーにします。機械は佐賀県の株式会社大橋さんのGS123GBを使っています。
①パウダーにするには緑色の竹が最適です。
②竹の表面が白っぽい(粉がついている)ものは若い竹で水分が多く、パウダーには
なりにくいです。
③竹の表面が黄色くなったものは硬くなり過ぎて、機械に負荷がかるのと、何より粉砕時の音がビックリするくらい大きいのです。
毎日生ゴミを投入するたびに攪拌します。
竹パウダーコンポストの中はほんのり温かいです。
竹パウダーを入れている袋はゴミ袋を使用しています。
本来は通気をよくさせるために目の細かい洗濯ネットや不織布で作られた袋を利用するのが一般的ですが、ゴミ袋の方が混ぜやすいです。
それに室内に置くためもあります。
外に置くと、虫や鳥、鹿が寄ってくることがあります。
竹パウダーには消臭効果があり、室内に置いても、匂いが押さえられています。
攪拌の方法は、普段は生ゴミを入れてスコップで攪拌しますが、たまに袋ごと取り出して、袋を揺さぶって全体を攪拌します。
生ゴミを入れるたびに微生物が、「ご飯きた〜!」と喜んでるようです。
がんばれ微生物!!
最初の生ゴミ投入からひと月経ったので竹パウダーコンポストには、生ゴミの投入をストップし、新たに作った竹パウダーと交代です。
写真で比べてみると、こんなにも色が違います。
少し生ゴミの形は残っていますが、立派な肥料が完成しました。
ここまでを各家庭で出来ればかなりの生ゴミ廃棄を削減に繋がるものと思います。
しかし、これだけでは不十分ですので、これをさらに循環システム化したいと思います。
➁竹パウダー活用サイクル
近年、竹は活用用途が少なくなり「厄介者」のレッテルを貼られることが増えてきました。
しかし、成長の早さ、繁殖力は、裏を返せば豊富な資源としての利用ができるという事でもあります。
ここでは竹パウダーを活用した「生ゴミ削減サイクル」について記載します。
- 竹パウダー活用サイクルの説明を受け20ℓの竹パウダーをもらう。
- 竹パウダー10ℓでコンポストを開始する。
- 1ヶ月後、生ゴミ投入をストップし残りの10ℓでコンポスト開始する。
- 2ヶ月後、最初の10ℓ分をカブトムシプロジェクトに持参し、新たな竹パウダー20ℓと交換する。新たな竹パウダー10ℓでコンポストを開始する。
- カブトムシプロジェクトは肥料になったコンポスト10ℓと落ち葉をブレンドし、腐葉土を作り、畑に利用する。
これをまず松風庵で実践し協賛する家庭を増やしていきます。
竹パウダーコンポストを活用する家庭が増えればこんなことにも繋がるかも知れません。
※竹パウダー活用サイクルを複数の家庭で行う場合、感染症対策、衛生面対策には十分配慮し、検討する必要があります。
4)家庭廃棄の生ゴミを削減
家庭から出る生ゴミを削減するとかなりのエネルギーコスト削減に繋がります。
一体どれくらいのエネルギーコスト削減になるのかを計算してみます。
①生ごみ 1 t の焼却に必要な燃料量
生ごみの水分を80%と仮定 ⇒ 1t中に水は800kg存在
水1 kgを1℃上昇 | させるのに必要な熱量は | 1 kcal |
水1 kgを気化 | させるのに必要な熱量は | 539 kcal |
分かりやすくすると
気温0℃のとき | ||
水 1 kgを蒸発 | させるのに必要な熱量は | 640 kcal |
水 800 ㎏を蒸発 | させるのに必要な熱量は | 512,000 kcal |
(800 kg × 640 kcal = 512,000 kcal) |
注)必ず表面放熱等の熱損失が発生するので、それよりも多くの熱量が必要。
熱損失係数の少ない炉ほど優秀。
また、最近では処理物から発生する熱を利用する装置もあり、一概には言えない。
熱損失係数を 1.6 (係数が小さいほど優秀な装置)
512,000 kcal × 1.6 = 819,200 kcal
灯油でこの熱量を得ようとした場合
灯油 1 L 当たり 8,700 kcal(諸説あり)として
94.2 L の灯油が乾燥させるだけで必要。
(819,200 kcal ÷ 8,700 kcal/L = 94.2 L)
実際焼却するには
焼却炉は800 ℃以上の高温を保持、消煙等が必要 ⇒ さらに燃料は必要
➁滋賀県のゴミ状況を見てみましょう。
一般廃棄物処理実態調査 平成30年度調査結果から引用
ごみ総排出量 432,758 t
リサイクル率 18.7 %
総資源化量 80,529 t
最終処分量 43,687 t
43,687 t × 92.4 L/t = 4,115,315.4 L
灯油 100円/Lとして 411,531,540円
(100円/L×4,115,315.4L= 411,531,540円)
家庭から出る生ゴミを削減すると、なんと年間4億円も削減できます!!
燃料以外にも必要経費(イニシャルコスト)・電気料・人件費・設備維持費 etc.がかかります。
正確な燃料使用量を計算するには、処理方式・使用燃料種・処理物物性・断熱材仕様・潜熱・装置表面積等を細かに計算する必要がありますが、まずはザックリとですが、家庭廃棄の生ゴミ削減はこれくらいの燃料費の削減に繋がってきます。